こんにちは!ProgLearn編集部です。
「世界のプログラミング」と題して世界の型破りなプログラミングスクールからプログラミング教育を考えるシリーズ。
前回はフランスのパリにある型破りな教育方針で注目のプログラミングスクール「ecole(エコール)42」についてご紹介しました。
第二回となる今回はアメリカのニューヨークにある非常に熱い理念を持ったプログラミングスクールをご紹介したいと思います。
プログラミング教育が人々を救う
押し寄せるデジタル化の波とプログラミングの必修科で、かつてないほど盛り上がるプログラミング教育。
プログラミングを勉強していないと時代の流れに乗り遅れてる?!なんて焦りの様な声も聞こえてきます。
でもプログラミング教育を推進する理由はそれだけで良いのでしょうか?いや、プログラミング教育にはもっと社会をポジティブに変える力が秘められている、そんな理念の元生まれたプログラミング学校があります
それがニューヨークのクイーンズ地区にあるプログラミングスクール「Pursuit (パースート)」(元C4Q: Coalition for Queens)です。
対象者は18歳以上の貧困世帯者
設立者である徐緒凱(Jukay Hsu)氏は台湾系の移民としてニューヨークでも特に貧困率の高いクイーンズ地区で育ち、努力の末ハーバード大学を卒業した苦労人。ハーバード大学ではあのマーク・ザッカーバーグとも同級生だったそうです。
そんな彼が2011年に立ち上げた「パースート」は他の多くのプログラミングスクール同様、アップルやアンドロイドのアプリ開発やウェブ開発に関する10ヶ月の集中的なプログラムを提供していますが、対象者は18歳以上の貧困世帯者で、講座は無償で提供されます。
特に、低所得者向け公営住宅に住んでいる人や、学校で昼食の無償化や割引の措置を受けていたような金銭的に困窮した人達を重点的に支援しています。
平均年収200万円から年収約930万円へ
プログラムは10ヶ月。講座の3分の1は履歴書の書き方やネットワーキング(人脈作り)、お礼のメッセージの書き方、チームワークやプロジェクトマネジメントなど、プログラミング以外のスキルに割かれています。
このプログラムの成果は何と言っても卒業生達の入学前の平均年収18,000ドル(約200万円)から卒業後の平均年収85,000ドル(約930万円)という驚きの年収アップです。就職先もピンタレスト、キックスターターやリンクトインなど一流のテック企業へ入社しています。
受講者は仕事をしながら夜間と週末で週40時間を学習に費やす必要があり、非常にハードなスケジュールとなっていますが、貧困から抜け出そうという彼らの強い気持ちがこのプログラムの成果に現れていますね。
寄付金に頼らない運営資金の調達
また団体の運営資金の調達方法も非常にユニークです。
元々はグーグルやセールスフォース、リンクトインなど大手テック企業からの寄付金で運営していましたが、現在は団体の運営資金は債権化され、投資として企業が購入する事で資金の調達をしています。
卒業生は年収6万ドル(約654万円)以上の仕事を見つけた場合のみ、債権所有者に給与の12%を3年間払います。債権所有者側は6.6%の年間利回りを見込めるそうです。
給与の12%を支払ったとしても入学前の収入よりもずっと多いですし、6.6%の利回りであれば投資先としても十分に魅力がありますね!
まとめ:プログラミング教育が持つ流行以上の可能性
設立者である徐氏はハーバード卒業後、軍に入隊。任務についたイラクで才能に恵まれながらも機会を得る事が出来ない人々を目の当たりにした事で同団体を立ち上げる事を思い付きました。
「プログラミング教育は、他の教育に比べ、直接的に生活を大きく変える力を持っている」と彼は言います。
卒業生はまだ300名ほどと小さい団体ですが、2018年には144人ほどが受講者となり、年々その数を拡大させています。その数だけプログラミング教育で大きく人生を変えた人達が生まれているという事ですね。
日本でも貧困世帯や所得格差が広がりを見せ、2015年の厚労省の調査では日本の7人に1人が貧困にあえぎ、1人親世帯では半数以上が貧困に苦しんでいるという実態が明らかになりました。
日本では時代の主役とも言えるエンジニアの年収が海外に比べて低いという事情もあり、同団体の様には行かないかもしれませんが、彼らの活動はプログラミング教育が持つ大きな可能性を示している様に感じます。
ProgLearnもそんな「プログラミング学習で人生を変える人」を全力で応援したいと思っています。その為のツールを誠意開発中ですので、今後もチェックしておいてくださいね!
それではまた!