世界標準の経営理論(著:入山 章栄 早稲田大学大学院・ビジネススクール教授)の理解を深めるために、内容のまとめをアウトプットしていきます。
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今日は経営理論の組み立て方です。
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誰もが、「経営理論っぽい話」をしている
業績が悪い時だからこそ、攻め続けることが重要
中本晃氏 島津製作所会長
良い経営理念を、社員に毎日使わせることです。経営理念に沿って、社員は自主的に判断して仕事をしてもらう。経営理念に基づく決断ならば、結果が悪くても責任を問わせない。これを繰り返せば、浸透します。
松本晃氏 カルビー会長
問屋に任せてリスクを取らないところからはクリエイティブな仕事は生まれない。
堤清二氏 元セゾングループ会長
小さなものの改善に効果がある。会社は常に変化がないといけない。
永守重信氏 日本電産会長兼社長
上述の経営者の言葉は一例だが、筆者の入山章栄氏は「ビジネスパーソンは日頃から知らず知らずのうちに経営理論のようなものを考え、口にしている」と考えている。
これは経営者に限った話ではない。ビジネスパーソンの誰もが会議、打ち合わせ、日常会話、同僚とのランチ等で「ビジネスの普遍的な、真理法則のようなもの」を語り合っている。
経営理論は論理の集合体であるため、究極のロジカルシンキングと言える。論文を書くことに関心のある人は自分の「真理法則のようなもの」を上手く組み立て、他者に伝え、表現するための視座として活用してもらいたい。
一般理論と理論的記述の構築
まず大前提として理論構築には2つのレベルがある。
第1のレベル:この世の様々な人・組織・企業などに通用する普遍的な理論を作り出すこと。Capital-T-Theory(大文字のT理論)又は一般理論と呼ぶ
第2のレベル:一般理論を活用してWhyを説明することで、現実の様々な事象や概念を繋ぎ合わせて独自の理論的な法則を組み立てること。理論的記述(theoretical argument)と呼ぶ。
理論構築の流れと、理論の構成要素
この前提を踏まえて理論構築のステップを解説する
1.現実の観察
理論構築の出発点は現実をよく観察すること。特に重要な点はアノマリー(anomaly:特異な部分)を見出すこと。
2.抽象化と分類
その現実で見つけた事象をカテゴリー化する
3.関係性の描写
分類した様々な事象(ユニット)の間に、関係性を見出すこと
4.提示された理論の修正・改善
現実には最初に提示される理論は不完全であることが多い
これらの大まかな流れを前提として、次に理論の構成要素を提示する
理論の構成要素
1.ユニット(unit)
理論は様々なモノ・コト(事象)の関係性を示すモノだが、これらのモノ・コトを総称してユニットと呼ぶ。
ユニットには以下の2種類が存在する
1.コンストラクト(construct):概念。普遍化のために事象を抽象化した
2.変数(variable):コンストラクトを計測できるものに変換
2.関係性の法則(law of interaction)
ユニット間を繋ぐ関係性のこと。ユニット間の関係性の法則(how)には数種類あり、中でも経営学でよく使われるのは以下の4つである。
1.線形の関係:AがBに直線的な関係で影響を与える場合
2.U字型・逆U字型の関係:AとBが逆U字型の関係にある場合、「Aがある程度まで高まる分にはBも高まるが、ある水準を超えると、Aが高まるとむしろBは低下する」ということになる
3.モデレーティング(調整)効果:A→Bの関係に、別のユニットが影響を与えることである。例えば、A→Bの関係にプラスの線形効果が会って、ユニットCが加わるとこの関係が強化される場合。
「CはA→Bの関係に対してプラスのモデレーティング効果がある」と呼ぶ。
4.ミディえーティング(媒介)効果:A→Bの関係の間に、実は別のCが挟まっている、というもの
3.バウンダリー・コンディション(boundary condition)
理論が通用する範囲のこと。経営学では以下の2つのバウンダリー・コンディションが重視される。
1.理論バウンダリー(theoretical boundary):理論が持つ仮定のこと
2.現象バウンダリー8empirical boundary):現実世界で理論が通用する範囲のこと
バウンダリーが狭すぎるとそもそも「普遍性」を求める理論の目的から逸脱してしまう。例えば日本企業にしか通用しない理論があるとすれば、その他の国では通用しないのだから、国際的な知的貢献はないことになる。
4.システム・ステイツ(system states)
システム・ステイツはバウンダリー・コンディションと同様に、理論の範囲を制限するものだ。違いはシステム・ステイツは「理論内のユニットの関係性が変わらない範囲」であること。
5.命題と仮説(proposition,hypothesis)
経営理論は様々なユニット間の、様々な関係性を体系的にまとめることで構築される。このプロセスを通じて、各研究者が特に主張したい因果関係(=現実で検証してみたい因果関係)が提示される。それが命題と仮説だ。
抽象性が高く、コンストラクト(概念)同士の因果関係を主張するのが命題である。
個人内多様性
ここまで読んでこのように厳密で学術的な作業は不要と考える方もいるかもしれない。
しかし誰もが「経営理論のようなもの」を日頃から語っていて、それが十分に噛み合っていないことが現実では頻繁に起きている。「学術的に心理法則のようなものを描き出す過程」を知っていれば、ビジネス論理思考を鍛えることができるのでそれを防ぐことが可能だ。
近年学界でイントラパーソナル・ダイバーシティ(intrapersonal diversity,個人内多様性)が注目されている。
これは「一人が様々な経験をした結果、その人の中に様々な知見・情報・土地勘を持っている」状態のことである。
一般にダイバーシティというと、様々な人が一つの組織に集まることをいうが、この場合は「一人の中に多様性がある」ということを指す。
そしてこのイントラパーソナル・ダイバーシティが高い人はパフォーマンスが高くなる傾向があるとわかっている。