経営

【経営理論】資源依存理論-前編【理解と実践】

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今日は社会学ベースの制度理論-前編についてまとめます。

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資源依存理論とは

資源依存理論(resource dependence theory:RDT)は1970年代以降に生まれた三大組織理論の1つ(残りは制度理論(1,2)、組織エコロジー理論)
「企業が社会的なつながりに埋め込まれている」という前提に立っており、企業・組織のパワーに注目するのが最大の特徴

企業パワーの源泉

RDTにおけるパワー

「他社と比べてどちらが強い交渉力を持ちうるか」といった相対的な力関係のこと

企業は顧客、投資元、投資先、提携相手、政府機関などの様々なプレイヤーと「モノ・カネ・人・技術・情報」などをやりとりすることで、日々のビジネス活動を成立させている。
この「やりとりされるもの」の総称をRDTでは資源(リソース)と呼ぶ。リソースの交換関係が、相対的な力関係を生じさせる。

ここで大事なポイントは資源依存関係(resource dependence)という概念である。

例えばB社の仕様に耐えうるリチウムイオン電池を開発できるのがA社だけだったとすると、
それは「B社がビジネスを行う上で重要な資源を、A社が独占的にコントロールしている」ことを意味する。B社はA社に対するリソースの依存度が高いということだ。
すなわちA社がB社に対して強いパワーを持つということになる。

取引費用理論(1,2)で取り上げたフィッシャーボディとGMの取引が、上述の例と合致している。

このように企業同士が交換するリソースには、どのようなものがあるか。RDTでは以下のようなものが取り上げられている。

1.材料・部品・技術などのリソース

大部分の企業は、材料・部品・技術・人材などを少なからず外部から調達している。それらは全てリソースである。

2.金銭的リソース

企業は自社製品・サービスを顧客に売り、対価として金銭報酬(リソース)をもらって収益をあげている。従って売り先が特定の顧客に限定されると、企業は金銭的リソースを特定顧客に強く依存することになる。

ここで上述の[1.][2.]を合わせて考えると、企業は「双方向で強く依存し合う」ケースがあることがわかる。
なぜなら冒頭に挙げた例ではB社のA社への依存度が高いだけだったが、仮にA社が電池を共有できる相手がB社のみだったとしたら、A社のB社への依存度も高くなるのだ。
結果、異なるリソースを通じて双方向で依存度が強くなりうるのである。

3.情報リソース

ビジネスでは、情報も重要なリソースである。近年では情報が次なる石油とも言われている。

日本では商社・広告代理店などに様々な業界の情報・人的ネットワークが集中しており、企業のパワーの源泉となっている。

4.正当性リソース

制度理論で紹介した正当性(legitimacy)も、RDTではリソースと捉えられる。例えばスタートアップ企業や中小企業が著名大手企業と取引すれば、その大企業の名前を通じて社会的な正当性を得られる。

パワーの弱い企業が、外部抑制に対抗する戦術

ここからがRDTの中心命題となる。
企業は様々な取引・投資などリソース交換の関係性に埋め込まれており、企業は周囲の様々な企業と様々なバランスの依存関係を持つ。
つまりどの企業もが、「依存のネットワーク」に埋め込まれているのだ。

このネットワークの中で、企業は依存度の高い相手から「強い制約」を受ける。パワーが弱い企業は思うような交渉、金額設定、契約ができず、苦しむことになる。
RDTではこれを外部抑圧(external constraint)と呼ぶ。

では外部抑圧に晒された企業に何か対抗手段はあるのだろうか。
実はこれこそがRDTの中心命題である。

RDTによれば外部抑圧を受ける企業は、大きく3つの「戦術」(tactics)でそれを抑制することが出来る。

1.抑圧の軽減(constraint diffusion)

特定企業からの依存度を引き下げることだ。新たなベンダーの開拓・販路の開拓などがそれに当たる。
もしくは会社の規模が大きくなれば、相手の自社への依存度が高くなり、抑圧を抑えることができる

2.抑圧の取り込み(constraint co-option)

潜在的に外部抑圧となる相手を自分側に引き入れ、味方につける戦術だ。

ボード・インターロック(board interlock)という依存度が高い相手企業の役員を自社の社外取締役に迎え入れる戦術が有効

アメリカ研究者がランダムに抽出した300社のデータを使った統計分析から、「特に規制産業にいる企業は、政治家出身の取締役が多いほど、企業価値が高まる」傾向を明らかにしている。

かつての日本企業の天下りにも同様の効果があったのかもしれない。

3.抑圧の吸収(constraint absorption)

外部抑圧を吸収する戦術である。
依存する産業にいる企業自体を買収して、パワーごと吸収してしまおうという戦術だ。
RDTでは「企業は依存度の高い他産業の企業をM&Aする傾向がある」という命題が導かれる。

このように企業は「軽減(diffusion)、取り込み(co-option)、吸収(absorption)」のいずれかの戦術を選び、あるいは組み合わせることで、外部抑圧を軽減することが可能というのがRDTの基本主張だ。

ただ1970年代に打ち立てられたRDTは経営学の主要理論となったが、その後RDTの説明力が必ずしも高くない可能性が主張され始めた。
具体的にはその後の研究で「過去の研修はデータ・分析手法の粗さから吸収命題を支持する結果を得ていたが、精緻に分析すると、この命題はむしろ支持できない」という結論が得られたのである。

しかし実はここにきて再び経営学者の注目がRDTに集まり出している。RDTが潜在的に様々な事例に応用できることを示唆しているのだ。

なぜ今経営学でRDTが復権し脚光を浴びつつあるのか、2つのブレークスルーを交えて次回説明する。

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