経営

【経営理論】組織の記憶の理論【理解と実践】

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今日は組織の記憶の理論についてまとめます。

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組織学習循環プロセスの復習

今日は以下の図のサブプロセス③をまとめます。

組織学習とイノベーション

組織はいくら努力して新たな知を獲得しても、うまく記憶させなければ限界のある認知に余裕がなくなり、さらなるサーチにうつれなくなる。

従って組織の記憶がイノベーションにおいて重要になってくるのだ。

組織の記憶プロセスは「知の保存(retention)」「知の引き出し(retrieval)」の2つの大別される

知の保存(retention)

獲得された知は組織に保存される必要がある。そして知の保存は以下の3つの手段がある
1.組織メンバー個人がそれぞれの脳内で記憶する
2.「モノ・ツール」に知を保存する
3.組織に「独自の行動習慣・決まり事」を埋め込むこと

企業内部で当然とされる慣習・標準的な手続きをあげることを「組織の標準化された手続き(standard operating procedure)」と呼ぶ

知の引き出し(retrieval)

次に保存した知は必要なときに引き出される必要がある。
その方法の解説には2つの標準理論「シェアード・メンタル・モデル」「トランザクティブ・メモリー・システム」が有効

両理論の共通点:メタ知の必要性、組織が「保存した知」を引き出す力を高めるためには、組織のメンバーが前提として持っておくべき認知があると主張していること
メタ知(metaknowledge):組織の記憶力向上に必要な高次の知

シェアード・メンタル・モデル(SMM)

SMMとは
「チームメンバー間で共有されている知についての、認知体系のこと」
「組織のメンバー間でどのくらい認知体系(メンタルモデル)が揃っているかのこと」
「組織メンバー間の基本認識の共有というメタ知」

認知体系:知や情報が頭の中でどのように表現されるかを説明するのに想起される、認知的概念の総称である。
メンタルモデル:周囲の環境や、周囲に期待できる行動に対する心理的な表現のこと

非常に抽象的なので認知体系・メンタルモデルは「仕事などに関する様々な情報・知見が頭の中でどう整理されていて、どう描かれているかの認知の体系のこと」と理解すればOK

SMMはさらに2つに分けられる

タスクSMM:組織の行う仕事や組織が持つ技術・設備などに関するメンバー間の共有認識
例)作業目的、トラブル時の対応策優先順位、基幹システム使用時の手順など様々な行動についての、メンバー間で基本認識の共有があること

チームSMM:メンバー同士の行動の役割分担、メンバーそれぞれの好み、強み、弱みなどに関する共有
例)「もしトラブルが発生したらAさんはこうして、Bさんはこうする」などの基本認識が共有されていること

アメリカの航空交通管制官を対象に調査を行った結果
「タスクSMMとチームSMMを同時に高いレベルで実現できているチームほど、そのチームが担当する空港の業務効率と安全性が共に高くなる」
という傾向を明らかにした。

他にもトヨタのジャスト・イン・タイム、自動化など「現場のオペレーション」でSMMが力を発揮している例は枚挙にいとまがない。

しかしSMMは「クリエイティブな現場」でも適用可能である。
「世界ナンバーワンのイノベーション企業」と呼ばれているIDEOではブレーンストーミング時の7つのルールがあり、これは新しいアイディアを出すためのタスクSMMとなっている

トランザクティブ・メモリー・システム(TMS)

日本で特に求められているのはSMMではなくTMS

TMS:組織内の知の分布についてのメタ知。組織メンバーが「他のメンバーの誰が何を知っているか」を知っていること。Who knows whatを知っていること

組織が大きくなれば蓄積すべき知の総量が増える。そうすると全員がそれを全て共有する事は不可能。
従って組織に重要な事は必要に応じて適切な他メンバーから知を引き出すことになる。

TMSを規定する条件:専門性(specialization)、正確性(credibility)
→組織にいるからこそ、人は分業が可能となり、それぞれの「知の専門性」を高めることができる

TMSが豊かだと「組織で記憶すること」は、圧倒的に効率がよくなる。

TMSを高めるための条件

Face to Faceによる直接対話のコミュニケーションの頻度を高くすること。
逆にメール・電話によるコミュニケーション頻度が高いとTMSは低くなる

アメリカシリコンバレーのイノベーティブな企業は、インフォーマルな直接対話コミュニケーションが増える仕掛けを明示的に取り入れている。
それは業務に関係のない「ビリヤード場・バレーボールコート」「カフェテリア」など人々が交流する場を設ける事で、社員が直接的なコミュニケーションをとることを促している

組織の記憶は全員ですべきなのか

Who knows whatのメタ知は全員が共有する必要はない。わからないことがあったら特定の人に「誰が何を知っているか」を聞きに行けば良い。

学生を使った実験でも「3人が少しずつ均等にTMSを持つチーム」よりも「1人が集約してTMSを持つチーム」の方がパフォーマンスが高くなったと明らかになっている。
つまりTMSは全員で共有するよりも個人が独占した方が良いのである。

北米・欧州・日本のIBM比較

TMSの少数個人による独占のメリットで興味深いのがIBMの研究所における情報交換の仕組みである。

ひと昔前のIBMは北米・欧州・日本の3箇所に大きなR&D部門があり、それぞれの支店でR&D部門とマーケティング部門の交流の仕方が異なっていた。

欧州:マーケティング側がR&D部門に情報交換に来る
日本:R&D部門の人がマーケティング・営業に常駐
米国:社内の各部門を歩き回って様々な情報を集め、流通させる少人数の「知のブローカーの専門職」がいる

戦略的に大規模プロジェクトを受託できているのは、圧倒的に北米拠点だった。

つまり「一見何をしているかわからないけど、社内の情報は最も多く知っているブラブラおじさん」が社内にいた方がパフォーマンスはよくなるのである。
ブラブラおじさんの唯一の注意点は「尊敬されている人」であること。尊敬される人でなければ自分の貴重な情報を簡単に出そうとしないし、ブラブラしている事は許されない。

日本企業の課題

個人に知が保存されているのに、組織として引き出されないこと

TMS向上の対策は2点「部署を超えてのインフォーマルな交流をふやす」「TMSの専門職(あるいはブラブラおじさん)に社内を歩き回らせる」

日本企業は、SMMは高い傾向にあるのでTMSを高める施策を進めていただきたい

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