経営

【経営理論】取引費用理論(TCE)②【理解と実践】

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今日は前回の続き取引費用理論(TCE)についてまとめます。

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TCEは「なぜ企業が存在するのか」を説明する

TCEの目的:ビジネス取引における最適な取引形態・ガバナンスを見いだすこと
*この場合のガバナンス:市場取引or企業への内部かのこと

一般に欧米企業がコールセンターや生産をアジア諸国に外注するのは、自国よりも安い労働力があるからだ。
しかし前回の記事で紹介したホールド・アップ問題の3条件が高まると、外注による製造コストが多大にかかってくる可能性がある。

従って企業はバランスの中で「外注・内製」の判断をすべきである。

さらにTCE理論を突き詰めると「企業は何か」について説明することも可能だ。

企業の範囲

TCEにおける企業:企業の存在とは市場取引における取引コストが高い部分を内部に取り込んだもの

古典的な経済学(例えば完全競争)では「市場には無数の小さい生産者(企業)が存在する」と仮定されていた。
この場合、企業の大きさは概念上「ゼロ」であり、なぜ企業が存在するのか説明できない。

対して取引コストという概念を導入したTCEでは「市場の対極にいるのが企業である」と主張したのである。

TCEに沿った企業戦略は業績のプラスになるのか?

経営理論を理解する上においてビジネスパーソンにとって最も重要な点が、「業績のプラス」になるかどうかだ。

TCEのこの問いについて説明するには「実証的理論」「規範的理論」を理解する必要がある。

実証的理論:「ある現象のメカニズムそのもの」を説明する理論
「〜という条件下では、企業は〜と行動する」といったもの。

規範的理論:企業・社会などの特定の対象にとって「〜すべき」という、望ましい方向性を導き出す理論
いわゆる「べき論」

TCEはどちらの理論か

TCEは規範的理論に近い。「〜すべき」の価値基準は、企業の立場から見た「取引の効率性」

前回の記事のGMの例だと、フィッシャーボディとの契約はコストがかかりすぎていた。そのため「市場取引を続けるよりも買収して内部化して効率化すべき」となるのだ。

TCEの本質検証

研究者がアメリカのトラック輸送産業2552社を対象に行った実証研究では、概ねTCEの勧める通りの取引ガバナンスをとる方が企業業績は良くなるという結果を得ている。

ハイブリッド・ガバナンスに潜むトレードオフ

今まで外注or内部化の二者択一しか選択肢はなかったが、現実のビジネスには企業間提携(アライアンス)などの中間形態もある。

ただ、アライアンスにも外注寄り、内部化寄りなど濃淡があり、取引ガバナンス選択の研究は現代の企業戦略論の一大研究テーマとなっている。
特に日本のビジネスパーソンにとって今後ハイブリッド・ガバナンスはさらに重要となるだろう。

ハイブリッド・ガバナンスが今後日本のビジネスパーソンにとって重要となる理由

国際化の発展

ITなどの発展によりビジネスの国際化が進んでいることは間違いなく、企業が海外進出する際にTCE、ハイブリッド・ガバナンスの理解は必要不可欠だ。

特に司法制度が整っていない新興市場と呼ばれる国々では「取引コストが高くなる可能性」が高い。
*取引コスト:契約で捉えきれない不測の事態が生じる際のコスト

例えばインドでは第一審から結審まで5年以上かかることが多く、控訴・上告までなされると20年以上に及ぶこともある。
裁判が長期化すればするほど、最終的に勝訴したとしても人的・時間的コストは甚大だ。

更に新興国では現地企業と裁判所が繋がっていると、例え自社に有利だとしても敗訴する可能性もある。

新興市場では司法システムが機能しにくいという意味で、先進国と比べて取引コストが圧倒的に高くなりうる。

市場の取引コスト低下傾向

ITの進化によって市場全体での取引コストは大幅に低下している。市場取引や契約をわざわざ現地まで行って交渉・締結しないで済むからだ。

その影響で前回の記事でも触れた「組織の範囲」に、以下の2点から大きな変革が迫られている。

  • ボーン・グローバル企業の台頭

Uber,Airbnb,メルカリ,ユーザーベースなど創業間もないタイミングから世界展開を行うスタートアップが増加した。

以前は自国で数十年かけて基盤を築いてから徐々に海外進出していたが、ITの普及により大幅に変化した。

小さく若い企業でも取引コストをかけずに国際的な市場取引を十分に行えるので、一気に国際化できる。

  • 巨大なグローバル・コングロマリット企業の解体プレッシャーの高まり

2017年にGE,2013年にSONYが投資家から事業の分離・解体を要求されている。

この要因は世界的な取引費用の低下だ。市場での取引費用が高い新興国を除いて先進国では内部化よりも外注の方がコスト効率が良くなっている場合がある。

そのため財閥・コングロマリット企業は分離・解体した方が業績向上につながると考えられるのである。

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