経営

【経営理論】取引費用理論(TCE)①【理解と実践】

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今日は取引費用理論(TCE)についてまとめます。

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取引費用理論とは

取引費用理論:Transaction Cost Theory, Transaction Cost Economics(以下、TCE)

人間の限定された合理性を前提としてビジネスの取引を説明する理論

限定された合理性(Bounded rationality)

「人の将来を見通す認知力には限界があり、人はその限られた将来予見力の範囲内で合理的に意思決定を行う」という意味

ビジネスでは将来の事を考えて契約書を発行するが、現実に起こる事象は予測不能のオンパレードである。

100年前にGMと部品メーカーのフィッシャーボディー間の取引事例が将来予測の難しさを物語っている。

将来予測が困難な例ーGM・フィッシャーボディー間の取引

舞台:1919年当時のアメリカ自動車業界

状況:木製部品を組み合わせて製造する「オープンな車体製造」から1枚の鉄板をプレスする「クローズドな車体製造」への移行期

鉄板プレス製造の課題:プレス設備導入にかかる多大な費用、需要の不確実性

GMの立場:不確実性の高いプレス製造の設備導入に多額の費用をかけるリスクを負いたくない。しかし需要が高まっているプレス製造の生産能力は高めたい。

GMの行動①:当時GMの有力サプライヤーであったフィッシャーボディにプレス設備導入とクローズドな車体製造を依頼。1回断られたものの「今後10年フィッシャーボディ以外から車体を製造しない」専属契約を締結して設備導入・クローズドな車体製造を始めた。

不足の事態:アメリカ国内の自動車需要の急激な伸び。特にプレス技術が必要な鉄鋼車体の自動車需要の伸びが顕著だった。

GMの行動②:需要の伸びを受けてフィッシャーボディに大量発注依頼。大量発注による規模の経済効果で車体製造のコストダウンを期待

フィッシャーボディの行動:値下げ交渉応じず。「10年間の専属契約」「クローズドな車体製造技術・ノウハウが全てフィッシャーボディに蓄積されている」ことからGMが違約金を払って契約破棄してまでサプライヤー変更することは出来ないと考えた。

ホールド・アップ問題

上述のGMの例の様な状況に陥ることをホールド・アップ問題と呼ぶ。

ホールド・アップ問題を引き起こすのは以下の3条件が揃った時である。

  • 不測事態の予見困難性(unforseen contingencies)

不測の事態の予見の難しさ
人間の合理性が限定的であるが故に生じる問題。
さらにビジネスには将来の予測が比較的見通しやすい環境と見通しにくい環境があり、特に後者は不測事態の予見を難しくさせる。

先のGMの例は主要技術の転換期にあり、将来の見通しが難しい時期だった。

  • 取引の複雑性(complexity)

取引の難しさ

先の例では当時の目新しい技術において、将来の不測事態を見通した契約を結べなかった。そのため契約が急伸した際にフィッシャーボディがGMの足元をみる結果となった。

  • 資産特殊性(asset specificity)

非常に重要な点が資産特殊性

2社のビジネス関係において一方の企業のビジネスに不可欠な要素(特殊な資産・技術・ノウハウ・経営資源)が、もう一方の企業に蓄積されることを指す。

この資産特殊性は更に以下の4条件へ分類できる

・地理的な特殊性:資産同士が近隣に立地することで輸送効率を上げたり、在庫コストを最小化できている状態
 (例)石油産業における掘削所、製油所、パイプラインの近接性

・物的資産の特殊性:特定のビジネス目的のために作られた物的資産
 (例)特定の顧客のための特殊な機械設備

・人的資産の特殊性:特定のビジネス・企業に有用な人の能力
 (例)メーカーにとって特別に必要な知識・ノウハウ・経験を持った技術者

・特定用途の特殊性:特定のビジネスのために開発されたその他の資産など
 (例)特定顧客のためにカスタマイズされた製品・サービス

  • 機会主義(opportunism)

上述の3条件の背後には大前提「機会主義的な行動(opportunistic behavior)」が存在する。

これはフィッシャーボディの様に「取引相手の足元を見る様な会社である」ということだ。

この機会主義的な行動は善・悪ではなく、人・企業の合理的な意思決定として生じる。先の3条件が揃えば、どの企業も「自社のために相手の足元を見る」可能性はある。

ホールド・アップ問題への対処方法

この問題への対処法は「内製化」である。方法は主に2パターン

  • 自社で内製化

企業内部で製造を開始することでホールド・アップ問題や大量の契約策定・交渉コストをなくすことができる。

  • 買収して内製化

先のGMの例では結局1926年にGMがフィッシャーボディの買収を決断した。

TCEから得られる示唆

市場でのビジネス取引において「不測事態の予測困難性」「取引の複雑性」「資産特殊性」の3条件が高い時は、
市場でのコストがかかりすぎるため取引相手のビジネスを自社内でコントロールすべき

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