こんにちは、今日はIRR(内部収益率)についてです。
先日お手伝いしているスタートアップがVCと話した時に、IRRが話題にあがりました。
その時は投資相談ではなかったのでIRR何%目指しているのか聞かれなかったのですが、
いつ何を聞かれても良いように基本的なことはしっかり準備していなければいけないと反省をしました。
IRRは投資判断に使われる指標なので、投資や経営の勉強をしていないとあまり聞き慣れない言葉だと思います。
IRRを勉強すると
「◯千万投資してもらったら5年後に◯億円でEXITするので、御社にはIRR◯%のリターンがあります。これに同意して応援してくれるのであれば投資してください。」
といった様な流れで説得力のある投資相談ができる様になります。
投資を受ける立場の起業家は学んでおいて損はないので、今日の記事を参考にしてください。
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IRRとは
IRR(Internal Rate of Return:内部収益率・内部利益率)とは、「投資から得られる将来のキャッシュフローの現在価値」と「投資額の現在価値」が等しくなるときの割引率です。
簡単にいえば「将来手にする総利益のNPV(正味現在価値)がゼロになる割引率」って感じですかね。
計算式はこんな感じです。
0=C0+C1/(1+r)+C2/(1+r)^2+C3/(1+r)^3・・・・・Cn/(1+r)^n
C:キャッシュフロー
C0:初期投資額(1万円投資したら-1万)
C1〜Cn:1年目〜n年目のキャッシュフロー総額
r:IRR
エクセルでIRR関数というのがあるので、計算の時はそれを使うと楽です。
ちんぷんかんぷんだと思うので簡単な例をあげて説明します。
IRR計算方法
以下の条件の時のIRRを計算してみましょう。
[株式投資]
A社の株を1,000万円分購入して4年目に1,100万円で売却
毎年配当金有り
・初期投資額:1,000万円
・配当:
1年目:20万円
2年目:20万円
3年目:30万円
4年目:30万円+1,100万円(株式売却)

この場合、IRR4.8%になります。
次に必要なのはこの「IRR4.8%」の良し悪しの判断基準です。
IRRの判断基準
これはズバリ「ハードルレート」との比較です。
ハードルレートとは「資本調達コスト(WACC)+α」です。
このハードルレートを超えていれば「投資」、下回っていれば「見送り」です。
WACCについては過去の記事で説明しているので、そちらをご確認ください。
企業は将来の利益にWACCをかけて現在価値に割り引いているので、最低限それを上回らなくてはなりません。
そして更に経営陣・投資家からの期待値があります。WACCと同じでは企業にとっての儲けがないので、それプラス数%の利回りを企業は求めます。
だからIRRの判断基準は「WACC+α(投資家の期待値)」であるハードルレートとなるのです。

上の例の場合、4.8%では恐らく投資NGだと思います。
このPwCの資料P39では2015年度JPX日経400の平均WACCが5.6%です。
従って少なくともIRRは10%程度ないと投資判断してもらえないと思います。
IRRの様々な例
IRRは単純な利益率と異なり、割引率が考慮されます。なので投資期間・利益”額”が同じでも、利益を受け取るタイミングが異なるとIRRも変動します。
条件は冒頭の例と同じで利益を受け取るタイミングだけ変えてみましょう。
[共通条件]
A社の株を1,000万円分購入して4年目に1,100万円で売却
毎年配当金有り。全てのパターンで受け取る配当金の額は同じ。
[配当パターン1(最初の例と同じ)]
1年目:20万円
2年目:20万円
3年目:30万円
4年目:30万円+1,100万円(株式売却)
[配当パターン2(1年目だけ配当有り)]
1年目:100万円
2年目:0円
3年目:0円
4年目:0円+1,100万円(株式売却)
[配当パターン3(4年目だけ配当有り)]
1年目:0円
2年目:0円
3年目:0円
4年目:100万円+1,100万円(株式売却)
[結果]
パターン2のIRRが最も高くなります。
なぜならIRRは割引率が考慮されるので、早い時期に受け取ることのできるキャッシュほど価値が高くなるからです。

単純な利益率だと全て20%(200/1,000)で同じですが、IRRだと差が出てくるので投資判断では重宝されています。
IRRの注意点
そんなIRRにも注意すべきことがあります。
それは「パーセンテージでしか出ない」という点です。
なぜこれが問題かは次の例でわかると思います。
[IRRの注意例]
投資案件が2つ持ってこられました。
1つは初期投資額1,000万円でIRR15.3%、もう一方は初期投資額1億円でIRR2.5%です。どちらも投資回収期間は4年です。
初期投資額
IRR
回収期間
パターン1
1,000万
15.3%
4年
パターン2
10,000万
2.5%
4年
この案件を持ってこられた場合、皆さんならどちらを選択しますか?
ほぼパターン1だと思います。
ただ注意が必要です。それは利益額です。
パターン1はIRRがずば抜けて良くても利益額500万円、一方後者は1,000万円です。

投資回収期間が同じで利益額がここまで違えば、IRRが悪くてもパターン2を選択すると思います。
これは非常に極端な例ですが、IRRだけで判断せずに利益額なども考慮すべきということです。
最後に
起業家の人は今日の記事で投資家の気にするポイント・IRRを理解できたと思います。
これからは投資家の立場に立ってIRRを盛り込んだピッチブックを作成しましょう。少しは勝率が上がると思いますよ。
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