こんにちは、そろそろ各社の四半期決算情報が出揃ってきましたね。
今期は増益より減益、純損の方が目立ちます。
特に大手企業の「◯◯年ぶり赤字転落」って記事が多く見受けられたように感じます。
・DeNA、上場来初の最終赤字に ゲームで500億円減損
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55290480V00C20A2TJ1000/
・楽天、8年ぶり最終赤字 米リフト減損響く
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55586830T10C20A2TJ1000/?n_cid=DSREA001
・丸紅、一転減益に 今期純利益13%減 石油・ガス減損響く
https://www.nikkei.com/nkd/industry/article/?DisplayType=1&n_m_code=071&ng=DGKKZO55281180V00C20A2DTB000
・サイバー、純利益65%減 前期、減損損失響く(2019年9月期)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO5159019030102019DTB000/
・電通グループ、最終赤字が過去最大の808億円に 中国やオーストラリアで減損計上
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55544130S0A210C2DTD000/
パッと調べただけでもこんなにありました。
ご覧のように、各社軒並み減損という言葉が使われています。ということで、今回はこの減損について説明します。
処理の仕方とかは難しいので省きます。
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減損損失とは
簡単にいうと「資産価値が下がったから、その分を差し引きますよ。」という会計上の処理のことです。
今回も文章だけで説明するのは難しいしややこしいので図で説明します。
(例1)A社がB社を120億円で買収した場合
2015年にA社がB社を買収しました。
調査の結果、B社の価値は100億円と判明しました。しかしA社はB社から最低でも毎年2億円の利益を10年に渡って出すことができると考えていたので、その分を買収代金に上乗せして120億円で買収しました。
買収の際に実際の企業価値よりも多く支払った金額を「のれん」といいます。
今回の買収では上述の通り20億円分がのれんとなります。


その「のれん」は日本の会計基準では最長20年に渡って、減価償却することになります。
*期間の定め方は難しいので割愛
今回は10年で減価償却することにしました。
のれんはP/L,B/S両方に影響を及ぼします。P/Lでは毎年2億円(20億円÷10年)をのれんの減価償却費として計上し、B/Sでは無形固定資産が毎年2億円ずつ減少します。

最初の5年は順調だったのですが、2021年に大変なことが発生しました!
強大なライバルが現れてB社は1円の利益も出さなくなってしまいました。。。
そこでA社は仕方なく無価値になったB社の価値を簿価から差し引くことにしました。
この時、B/S上で残っている「のれん」は10億円です。
*20億円 ー (2億円 × 5年) = 10億円
でもこの価値はもう0なので、その処理をしなくてはいけません。
そこで2021年度のP/Lにおいて特別損失の項目に減損損失を追加して10億円の費用を追加計上することにしました。

この時A社は5億円の純利益を見込んでいたのですが、10億円の減損損失が重くのしかかり一気に最終赤字へと転落してしまいました。。。
減損時のC/F
なんとなく理解できましたか?
減損はある企業(他にも設備とか)を高値づかみしてしまった企業が、現実的な価値に基づいて帳簿上の価格を調整する作業です。
でも感の良い人は気が付いてると思いますが、減価償却と同様にキャッシュの流出は伴いません。
つまりP/L上は大赤字になったとしてもC/F上は現金が増えている場合が多いです。
例えば冒頭で紹介したDeNAも営業活動によるキャッシュフローは黒字です。
他の企業は面倒で見てないのですが多分黒字のところがほとんどだと思います。

巨額減損企業の株は意外と買い?
減損は過剰に高く評価してしまっていた価値を適正に戻す際に発生する処理です。
従って膿を出す作業と捉えることもできます。
減損時は痛い目に遭いますが、過去の失敗をきちんと受け止めて経営を続ければなんてことはありません。
逆に膿を出し切ったのであれば、翌期の業績は上がるだけです。
なので巨額減損によって赤字となったけれど、営業活動によるキャッシュフローできちんと黒字を確保できていればそれほど心配はないと考えています。
だからもし減損発表後に株価が下がっていて、上述の項目がプラスの企業があれば買いの機会かもしれません。
ちなみに楽天は2/13に巨額減損を発表しましたが、株価は決算発表時よりも上がっています。(2/17現在)

最後に
次回は減損に関する日本の会計基準とIFRSの違いについて説明します。