こんにちは、ProgLearnです。では早速予想FCFの作成に入りましょう。
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FCF
まず今回私が作成したFCFはこちらです。

なんのこっちゃわからんと思うので、順に解説していきます。
そもそもFCFとは
FCF・・・Free Cash Flow 投資家が自由に使える金額のこと。企業ではありません。
【グロービスの解説】
フリー・キャッシュフローとは、事業やプロジェクトの経済的価値を評価する際、将来得られるキャッシュフローを適切な割引率で割引き、現在価値を求めるというのがファイナンスのオーソドックスな考え方である。
そうした経済的価値の評価をする際に用いるのがフリー・キャッシュフロー(FCF)である。FCFは、投資家(債権者および株主)に対して利払いや配当などにあてることのできる、債権者と株主に帰属するキャッシュフローと言え、
FCF = 営業利益×(1-税率)+減価償却費-投資-△運転資本
で計算される。この定義式からもわかるように、FCFは利子費用をいったん無視し、無借金を仮定した場合のキャッシュフローと捉えることが出来る。
無借金を仮定するのは、プロジェクトのリターンを、いったん資金調達法から切り離して見るためである。そして資金調達法の影響は、割引率となる資本コストに反映させることで見るのがファイナンスの考え方である。
FCFにはP/Lから導かれる項目と、B/Sから導かれる項目の両方が入っている。したがって、将来のFCFを計算するためには、予測P/Lと予測B/Sの両者を作成することが本来は求められる。ただし実務では、数年にわたる予測B/Sを作成することは難しいため、運転資本は売上げの一定比率とするなどの簡便法を用いる場合も多い。
https://mba.globis.ac.jp/about_mba/glossary/detail-11959.html
算出方法
先に作成したP/L,B/Sの数値をいじるだけなので非常に簡単です。
- 営業利益
P/Lの営業利益をそのまま引用
- 営業利益にかかる税金
営業利益×実効税率
- 税引後営業利益(NOPLAT)
営業利益-営業利益にかかる税金
- 減価償却費
P/Lで抽出した減価償却費を引用
減価償却費はP/L上だとマイナス項目でした。しかしFCF算出時においてはプラス項目です。
なぜなら減価償却はキャッシュの流出を伴っていない費用だからです。
例えば会社で3年使う予定の車を300万円で一括購入したとすると、会社のキャッシュが減るのは購入時のみです。
しかし会計上では3年間費用が発生します。
300万円で購入した車の価値は1年毎に減る(古くなる)ので、その分を会計上では費用として捉えるのです。
*減少する価値の算出方法は数種類あります。主に2種類
〈例〉
期首(4月1日)に車を購入
その時の車の価値:300万←キャッシュがなくなるのはこの時だけ
期末(翌年3月31日)の価値:300万-{(300万/3)×1}=200万
翌々年3月31日の価値 :300万-{(300万/3)×2}=100万
翌々々年3月31日の価値 :300万-{(300万/3)×2}=0
上記の例の場合、キャッシュは無くなっていないけど、毎年100万円が会計上の費用として計上されているんです。
予想FCFの算出は実際のキャッシュに焦点を当てた作業なので、会計上の減価償却費を足し戻す必要があります。
- 設備投資額
当期に設備投資した金額を求めます。
FCFは投資家が自由にできるお金なので、企業にとって必要な費用をマイナスしていると解釈しています。
〈計算式〉
事業用固定資産(有形固定資産+無形固定資産)の当期末残高+当期の減価償却費-事業用固定資産の前期末残高
ここでも減価償却費を足しているのは、キャッシュベースで事業用固定資産がいくら増えたのか明らかにするためです。
減価償却で記載した例をとって考えてみます。
購入時の設備投資額は300万円であるはずですが、有価証券報告書には有形固定資産:200万円と記載されます。
その代わり減価償却費:100万円が計上されています。
従って設備投資額を求める際にも固定資産に減価償却費を足し戻す必要があるのです。
尚、昨年から新たに何円設備投資をしたか求めるので、事業用固定資産の前期末残高に前期減価償却費を足し戻す必要はありません。
- 運転資本増価額
売上高が増えるに伴って、必要な運転資本も確実に増加します。
設備投資額と同様に運転資本増加分も企業が確保しなければならない資金です。そのため営業利益からマイナスします。
〈計算式〉
当期末の正味運転資本残高(必要手元現預金+売掛金+たな卸資産+その他の流動資産-買掛金-未払費用-その他の流動負債)-前期末の正味運転資本残高
ちなみに運転資本(working capital)がいまいちわからない人はこちらをどうぞ
運転資本(WC)とは、流動資産と流動負債との差額。WC。
キャッシュフローの計算が大きな意味を持つファイナンスにおいては、流動資産と流動負債は個別に扱わず、運転資本として一体的に把握する。 運転資本は、企業の日々の活動を円滑に回すための短期的投資ととらえられる。運転資本が増加する(例えば在庫が増える)ことは、余分なキャッシュが必要になることを意味する。
https://mba.globis.ac.jp/about_mba/glossary/detail-12072.html
予想投下資産
FCFの作成が完了したため、予想財務3表が完成しました。
ここで予想ROICを算出するために、予想B/Sを組み替えて予想投下資産の算出表を作成します。

「事業投下資産(本業に使った資産)」「非事業用資産(それ以外の資産)」に分類することで、本業で活用した資産だけでどれだけ効率的に利益を生み出しているか確認できます。
算出方法
投下資産合計
- 事業用投下資産
-運転資本
流動資産-流動負債です。ただし、事業に最低限必要な項目だけ抽出します。
今回は「未払費用」の扱いに悩みましたが、恐らく事業運営に直結している費用だろうと捉えて流動負債としました。
〈計算式〉
予想B/S上の必要手元現預金+売掛金+たな卸資産+その他の流動資産-買掛金-未払費用-その他の流動負債
-事業用有形固定資産
B/Sの同名項目を引用
-事業用その他の資産
アシックスの場合は無形固定資産だけでした。
これは対象企業によって大きく異なると思うので、各自判断してください。
参考書の場合、この項目は「無形固定資産+長期前払費用+敷金保証金」でした。
- 非事業用投下資産
-余剰現預金,投資有価証券,非事業用固定資産
これらもただ予想B/S上の同名項目を引用するだけです。
これで予想B/S上の資産項目を全て振り分けられたので、投下資産合計値を出すことができました。
調達資本合計
- 有利子負債
「その他の固定負債」以外の全ての流動負債・固定負債の項目を足しています。
但し、運転資本の算出で使用した買掛金・未払費用・その他の流動負債は除外してください。
これらも含めると二重計上になってしまいます。
尚、リース債務は流動負債・固定負債の合算です。
- その他の固定負債
有利子負債算出に含めなかった項目を引用します。
今回はその他の固定負債だけ
- 株主資本
B/S上の純資産合計値をそのまま引用
備考
投下資産合計と調達資本合計が1程度ズレる年度が出てきます。
その場合、私は余剰現預金で調整しています。
最後に
FCF,投下資産算出表を作成していて、アシックスの運転資本比率高すぎないか?と感じました。
在庫が必要なビジネスモデルなので流動資産が多いのは仕方ないと思うのですが、その点流動負債が少なすぎると思います。
同業他社の財務3表をチェックしていないので一概には言えませんが、製造業とはいえ高すぎる気がします。
もう1点は借入金が非常に少ないです。
参考書ではメガネトップの短期借入金を運転資本と同額で算出していますが、実績値も運転資本の50%はありました。
これがアシックスの場合、実績値は「運転資本の1%」しかありません。
じゃあキャッシュをどうやって確保しているのかというと「社債」です。
アシックスは社債を定期的に発行しています。
「株主資本コストの推計」解説時に記載しますが、格付が高いからアシックスは借入よりも社債による資金調達を行なっているのだと思います。
財務3表を分析することで色々わかってきますね。
次回は「予想ROIC算出」です。
[…] 次回は1/10「予想FCF算出、予想投下資産(算出表)」です。多分こんな長文にはならないと思います。 […]
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